ケニアと日本をつなぐサイザル物語

~ある女性企業家の視点~

「誰かのために」は諸刃の剣? ケニアで仕事をするうえで気を付けていること

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(織り糸グループ訪問時。とっても協力的で楽しい女性たちでした!)

 

アンバーアワーは、ケニア農村部の女性たちの雇用創出を目的とした会社です。

私は創設者の一人として会社の目的と理念を常に意識しながら仕事をしていますし、

何を判断するにも、必ずこの原点に戻ります。

 

しかし同時に、設立当初から心に決めていることが一つあります。

それは、決して「ケニアの人を助けるために仕事をしている」と思わないことです。

 

残念ながら人の心は弱い。

誰かのために「やってあげている」と考えだすと

その思考回路が根強く残ってしまい、

問題が生じてしまったときに

「こんなにしてあげてるのに」という気分になってしまう。

 

私は、ケニアより平均所得の高い国から来た外国人であり、

更にここに来れば「賃金を払う側」です。

 

つまり、傲慢な気持ちが生まれやすい環境に自らを置いているため

尚更自分を律しないといけません。

 

こんな真面目な話を唐突にし始めたのには

ちょっとしたきっかけがあります。

 

ケニアに来る際はなるべく織り糸を作ってくれている農村部の女性グループに

挨拶に回っています。

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(別の織り糸グループ。高齢の方が多いのですが、意欲的です)

 

先日、今まで訪問していたグループが

ひとつリストから抜けていることに気付きました。

 

早速担当者のガブリエルに聞いてみると、

「あそこはもう少し態度を改めないと難しいと思う」との答え。

 

どういう意味?と聞いたら

どうやら訪問時に品質などについて揉めていたときに、女性たちに

「私たちはムズング(外国人)のために作ってあげているんだ!

私たちが作らなかったら、あなた達が困るんだ!

だから条件を全部飲め!」と言ってきたのだそう。

 

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(担当のガブリエルが糸の品質等を査定し話し合っているところ)

 

ほほぅ、そう来たかと思いつつ、

ガブリエルに、「それで、あなたはどう答えたの?」と聞いたら

彼の答えがこちら:

 

「僕たちの関係は対等だ。あなた達が良い質のものを作って

僕たちがそれを良い値段で買う。量が多ければ、お金も増える。

これはビジネスだから、お互いの利益を探さないといけない。」

「それに、誰かのためにしてあげる仕事なんてない。

仕事は、自分の幸せをつかむためにするものだ。」

 

この答えを聞いて私はちょっと安心しました。

というのも、以前似たようなケースがあったときに別の担当者が

「むしろ、僕たちがそっちのために働いているんだ!」

と返してしまったことがあり、

恩着せがましいと非難を浴びたことがあったからです。

 

誰かのために頑張る。

誰かを思うことが仕事へのモチベーションにつながるのは素敵なこと。

だけど、誰かのために頑張ってあげている、という思いは

積もり積もれば恩着せがましくなります。

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(糸を持って踊ってくれている村の女性たち。

一番左の女性がグループの創設者。彼女がグループを作ったのは

村の女性たちの未来のため。ここでの「誰かのために」はとてもポジティブです)

 

ケニアの人達を助けてあげている

という感情は私にとってご法度ですが、

それでもスタッフや関係者への思いは人一倍強く、

彼らの幸せを願う気持ちが私の原動力となっていることも事実です。

 

最後に、夏に訪問した際に撮ったお気に入りの写真をお見せします。

工房で、3人娘(私より年齢は上ですが・・・)が織っている後ろ姿です。

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工房の椅子に座ってこの後ろ姿を見ていると、

彼女たちの可能性や選択肢が広がる機会を増やすためにも

自分ができることは全力でやらなければ、と思うのです。